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発達障害支援

2017.03.06 【セミナーレポート】

ジャパンライム主催セミナー
発達障害を“感覚”と“運動”の視点から捉える


2月26日に関西国際大学の中尾繁樹先生をお招きして、 発達障害や最近の子どもによく見られる問題と、その観察法について実技を交えてご講演をいただきました。 ジャパンライムでは初開催となった発達障害支援のセミナーですが、好評のうちに終了いたしました。 施設職員や教員、理学療法士、作業療法士など各方面から多くのご参加をいただき、 いまの発達障害支援には様々な方が携わっていることを実感しました。

今回のテーマである観察法では、目でみえることだけでなく、なぜそういった行動をとるのか、なぜできないのか、というように、 「なぜ」の部分が重要となります。同じ問題でも、背景によってとるべき対応は違います。今回はこの「なぜ」に関して詳しくお話しいただきました。

**はじめに**

講演の冒頭では、まず先生のご経歴と現在の研究内容についてお話いただきました。 中尾先生はとても幅広く活動をされており、現在は乳幼児からアスリートまで指導をされています。
その背景には、学生のときから学んでいた肢体不自由や、エアーズ氏のもとで学んだ感覚統合法、 そのほかにボバース、心理療法の動作法など、様々な学びをされてきたということがあります。

中尾繁樹


**特別支援教育の視点**

「特別支援教育」という言葉は知っていても、それがどういうものか、何のためなのか、 といったことをしっかりと理解できているでしょうか。 特別支援教育の本質は障害をみつけることではなく、子どもの実態をみつけることです。 子どもが何で困っているのか、なぜそういった動きをするのかを把握することで、 先に手を打つことができ、それがいじめや不登校を未然に防止することにも繋がります。

現場では色々な子どもたちを見なければならず、その子どもによって必要なこと、 目標とするところは違います。特別支援教育ではそういった視点が重要です。

中尾繁樹

「皆さんは子どもをみる視点をいくつ持っていますか?」
ここからは受講者の皆さんにもやっていただきました。 お互いに姿勢をチェックして、変だと思うところを教えるという活動を行いました。 1分間のチェックでしたが、見つけられなかったという方が意外に多いようでした。

「何が正しいのか分からないと、変なところは絶対に見つからないはずです。皆さんが見つけたところは、もしかしたら変なところではないかもしれないですよ。」

中尾繁樹

“姿勢”という、私たちにとって身近で、わかりやすい例でお話いただきました。 先ほどのチェックのように、目で見えていることをそのまま伝えることはできても、 なぜそうなっているのかを説明することができない、 つまり、どのように対応すれば良いかわからないということです。 様々な視点をもって、子どもの実態を把握することの重要性についてのお話でした。


**最近の子どもたちによく見られる問題と問題を捉える視点**

子どもたちに見られる問題とその背景についてお話いただきました。 その一つとして、子育てについて触れられていました。
子どもたちの二次的な問題を予防するために、 いま一番足りていないことは「お母さんを守る」ことなのだそうです。
子育てのなかで、例えば触過敏がある子どもに対して、 ちょっとしたトラブルがあったときにお母さんは混乱してしまいます。
そんな時に適切なアドバイスをしてあげられるシステムが必要なのです。 様子をみましょう、ではなく、こういう時はこうしてあげましょう、という具体的なアドバイスです。

中尾繁樹

続いて、鉛筆の握り方や鉄棒の握り方など、学校現場でよくみられる場面を例にして、 観察のポイントをお話いただきました。
ここでもやはり問題の背景のベースの部分を知っていることが重要であると強調されていました。 身近なことや先生の実体験を交えたお話で、受講者の方もイメージがしやすかったようです。


**発達障害によく見られる感覚運動機能の問題**

体がシャキッとしない、動きが止めれない、動きがぎこちない、 バランスが苦手、触れるのを嫌がる、人とのかかわりが苦手など 様々な問題があります。そしてその要因も様々です。

中尾繁樹

中尾先生の講義では、所々で皆さんに体を動かしてもらいます。 これはイメージを掴むためだけでなく、 体を動かすことで覚醒をあげて、話を集中して聴けるようにするためです。 退屈する暇など全くなく、午前中の2時間もあっという間に過ぎていました。


**感覚と運動の仕組み**

様々な現場をよく知る先生のお話は、受講者の皆さんにとっても現場でよく見かけることなので、 イメージがしやすく、納得もしやすいようです。 「そうそう」と頷く場面、「なるほど」とメモを取る場面、 「えぇー?!」と驚く場面など、受講者の方の反応がよくみられる、活気のある講演になりました。

中尾繁樹

決められた検査法だけでなく、遊びの中でできるチェックの仕方などもご紹介いただきました。 ここでは、ポケットに100円玉と10円玉を入れ、指示された方を見ないでポケットから出す、 という活動を3回行い、識別のチェックをしてもらいました。 感覚統合に関する内容は、普段あまり意識していないことで、難しく感じる方も多いところですが、 現場でのお話なども交えて、楽しくわかりやすく講義していただきました。

中尾繁樹


**感覚・運動機能の臨床観察法**

臨床観察でわかるのはあくまで一部分なので、組み合わせて総合的にみることが重要です。 つまり様々なチェックの仕方を知っておくと、より正確な情報を得ることができるわけです。 ここでは皆さんに、ご自身の身体をチェックしてもらいました。

中尾繁樹


**教室でできる臨床観察**

通常の臨床観察のほか、日常の遊びの中でできる観察方法もご紹介いただきました。 子どもがしっかりと指示をきいてくれる場合は、手順通りに臨床観察を進めることができますが、 実際にはなかなかうまくいかないことのほうが多いので、アレンジを加える必要があります。

中尾繁樹

受講者の方々には終始笑顔がみられ、ご満足いただけた様子で私どもも嬉しく思います。
中尾先生、受講者の皆様、ありがとうございました。

次回は感覚運動指導をテーマにご講演いただきます。


参加者の方の感想(一部抜粋)

・実際に体験することもでき、とても分かりやすかったです。
・子どもたちの動作を手掛かりにどんな特性があるか、どんな支援・対応をすればよいのか具体的に知ることができた。
・まだまだ理解できない所が多いですが、持ち帰ってよく読み返します。次回も参加させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
・具体的な視点・実技も交えていて面白かった。
・非常に勉強になりました。具体的な練習方法やどの部分に重きを置いて観察をしてみたらよいかをお話いただけたので、今後の参考にさせていただきます。このようなセミナーを開催いただき、ありがとうございました。
・実際に子どもを目の前にした時に見るべきポイントをいくつか教えていただき大変勉強になりました。今後の指導に活かしていきたいです。
・中尾先生のお人柄も垣間見える、分かりやすい講義内容でした。
・大変参考になりました。実際の現場で子どもの実態を正確に捉えられるよう、実践してきたいと思います。
・具体的なことがわかって良かったです。あんなに原因がわかれているとは思わなかったです。
・子どもに見られる現象とそのみかたがわかりました。できない理由を理解し、子どもに接していこうと思います。
・見立ての方法について感覚面についての理解ができた気がします。
・観察・検査の方法がわかりやすかった。各々の検査の目的と問題が見つかった時の改善方法がセットで知りたかった。
・お話しが上手で楽しいセミナーでした。
・自分の動きをみてチェックしていくことで、どのような視点で見ればよいのか少しわかりました。
・動きによって色々な状態がわかるというのが興味深く、先生の具体的な例をあげての話を楽しく拝聴しました。産まれてからの育ちが、身体の成長に大きく影響していることがわかりました。その中でバランスの悪い障害児の子の検査をして色々な要素を統合して見ていくことの必要性を知りました。
・子どもの見取りの方法がいくつかわかってよかったです。こういう方法、それによっての指導法をたくさん知りたいです。